心不全
心不全とは
心不全とは心臓の機能が落ちることで‘息切れ’や‘むくみ(浮腫)’などが出現する総合的な病態を指し、徐々に悪くなると最終的には生命寿命を縮めてしまいます。心臓は各臓器に血液や酸素を送るポンプの機能を担い、グルグルと体の中の血液を循環させます。
そのため心臓が悪くなるとポンプ機能が落ちてしまい各臓器に十分な血液を送れず臓器不全に至ります。
体の血液が淀みなく心臓に還れなくなることで渋滞してしまい、胸に水がたまり(胸水)、息苦しくなり、足に水がたまって(浮腫んで)しまうのです。
(左:無症状時 / 右:心不全時)
(左:心不全時 / 右:心不全治療後)
上記のように心不全になると心臓は腫れ上がり, 心臓の隣に位置する肺は溢れた水により白いレントゲン画像になります。写真右の状態になってしまうと自力で呼吸をするのも苦しくなり命にも危険が出てきます。
心臓が悪くなる原因は一つではないためまずは原因を解明することが必要であり重要です。
主要な原因は主に4つ①虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞), ②弁膜症, ③不整脈, ④心筋症が挙げられます。
■心不全の検査■
前述の通り心不全の原因は多岐にわたり同じ疾患でも必要となる心不全薬の種類や量は異なります。
循環器内科医に受診し、胸部レントゲン・心電図検査・心臓超音波検査を用いて適切に診断することが大事になります。
心不全の治療
心不全の治療の第一は上記原因疾患の治療です。
具体的には、狭心症であればカテーテル治療、弁膜症であればカテーテルもしくは外科的な弁置換術、不整脈に関しては薬物治療やカテーテルアブレーション・デバイス治療などが代表的です。
一方で原因はいろいろありますが心不全によりポンプ機能が低下し、体の血液が渋滞することは共通するため薬物治療は一般的には以下が代表的です。
・ACE阻害薬/ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
心保護薬の1種であり、適切に血管拡張させ心臓への負担を軽減させます。
・β遮断薬
心保護薬の1種であり、心臓が過度に頑張りすぎないように程よく落ち着かせます。
・利尿薬
渋滞して溢れてしまった水分を尿として体外へ出しやすくする薬です。
さらに現在は新しい心保護薬(ARNI, HCNチャネル遮断薬, SGLT2阻害薬など)も開発され注目されています。
大学病院では高度な心臓デバイス(CRT)による心臓再同期治療や心臓リハビリテーションによる包括的な介入も行っています。
文責:茂澤メディカルクリニック 循環器内科 茂澤 幸右